「担当のケアマネジャーさんに、家の事情をあまり聞いてもらえている気がしない」 「電話してもなかなか折り返しがなくて、施設探しが進まない」 「そもそも、ケアマネジャーって何をしてくれる人なのか、よくわからないまま契約してしまった」

——ケアマネジャーとの関係で、こうした戸惑いを感じることがあります。ケアマネジャーは介護保険サービスの入り口に立つ専門職ですが、どう決まるのか、何を見て選べばよいのか、合わないときにどうすればよいのかは、契約のときに詳しく説明されないこともあります。

この記事では、ケアマネジャーの役割、決まり方と探し方、面談で確認すること、変更を考えてよいサイン、変更の手順を、介護保険の運営基準(厚生労働省令)にもとづいて整理します。

この記事でわかること

  • ケアマネジャーが実際に何をしてくれる専門職なのか
  • ケアマネジャーはどうやって決まり、どこで探すのか
  • 依頼先を選ぶときに、面談で聞いておきたいこと
  • 「変更してもいい」と判断できる5つのサイン
  • 実際に変更する4つのステップと、かかる費用
  • 遠方に住むご家族が気をつけたいこと

ケアマネジャーとは?何をしてくれる専門職なの?

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護1以上の認定を受けた方のケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、サービス事業者との調整や見直しを行う専門職です。依頼にかかる費用は原則として無料です。

要介護認定を受けたあと、実際に介護保険サービスを使うためには「どのサービスを」「どれくらいの頻度で」「どの事業所から」利用するかを決めた計画書(ケアプラン)が必要です。このケアプランを、ご本人やご家族の希望・心身の状態をふまえて作成するのがケアマネジャーの役割です。

ケアマネジャーが所属するのは「居宅介護支援事業所」という事業所で、主な仕事は次のように整理できます。

業務内容
アセスメントご本人の心身の状態、生活環境、希望を聞き取る
ケアプラン作成利用するサービスの種類・頻度・事業所を計画書にまとめる
サービス事業者との調整デイサービスや訪問介護の事業所と日程・内容を調整する
モニタリング月1回程度の訪問で、サービスが合っているか確認する
給付管理利用したサービスの費用を市区町村に請求する事務処理
各種相談介護保険以外の制度(医療・福祉・成年後見など)についての相談窓口

ケアプラン作成にかかる費用は、利用者の自己負担がありません。居宅介護支援費として介護保険から全額が支払われるためです。「相性が合わないから他を探したい」と思ったときも、費用を理由にためらう必要はありません。ケアプランの有料化は国の審議会で繰り返し議論されてきましたが、その経緯は2027年度の介護保険改正で何が変わる?──2割負担の対象拡大は「先送り」、ケアプラン有料化の議論を家族向けに整理で整理しています。

なお、要支援1・2の方の場合は、居宅介護支援事業所ではなく地域包括支援センターが担当窓口になります(一部業務を居宅介護支援事業所に委託している場合もあります)。要介護認定の基本的な流れは、親の介護が始まったら──はじめての介護保険、申請から費用までやさしく解説で解説しています。


ケアマネジャーはどうやって決まる?どこで探す?

本人や家族が居宅介護支援事業所を選んで契約すると、その事業所に所属するケアマネジャーが担当になります。事業所の候補は、地域包括支援センターや市区町村の窓口で一覧をもらって探すのが基本です。

ケアマネジャーは、市区町村が割り当てる人ではありません。介護保険では、ケアプランを作る事業所(居宅介護支援事業所)を利用者側が選んで契約します。事業所の中で誰が担当になるかは、事業所が人員や担当の状況を見て決めるのが一般的です。「看護師出身の人がいい」「男性・女性の希望がある」など、担当者についての希望があれば、契約前の面談で伝えて相談できます。

要介護認定の結果が届いたら、ケアプラン作成を依頼する居宅介護支援事業所を決める必要があります。探し方の主な入り口は次の3つです。

探し方① 地域包括支援センターに相談する

お住まいの地域を担当する地域包括支援センターには、地域内の居宅介護支援事業所の一覧(ハートページなどの冊子やリスト)が用意されています。中立的な立場から複数の候補を紹介してもらえるため、初めて探す方が相談しやすい入り口です。

探し方② 入院先の病院・ケースワーカーから紹介を受ける

入院をきっかけに介護が必要になった場合は、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)が退院支援の一環として、地域の居宅介護支援事業所を紹介してくれることがあります。退院までのスケジュールが決まっている場合は、この経路がスムーズです。

探し方③ 市区町村の窓口で一覧をもらう

市区町村の介護保険担当窓口でも、管内の居宅介護支援事業所の一覧を配布しています。自宅から近い事業所や、特定の疾患(認知症など)に強い事業所を絞り込みたいときに確認するとよいでしょう。

いずれの入り口を使う場合も、1つの窓口や1人の紹介者からの案内だけで決めず、できれば2〜3か所の情報を比べると、違いが見えやすくなります。

ケアマネジャーを探す3つの入り口(地域包括支援センター・入院先の医療ソーシャルワーカー・市区町村窓口)から、複数の候補事業所を比較して1つを選ぶまでの流れを示した図


ケアマネジャーの選び方、依頼する事業所で何を確認すればいいの?

「話をよく聞いてくれるか」「連絡が取りやすいか」「地域のサービスに詳しいか」の3点は、実際に会って初めてわかることが多いため、契約前の面談で確かめます。

複数の候補が挙がったら、実際に会って話す機会(初回相談・アセスメント面談)を通じて、次の5点を確認してください。

  • 話を聞いてくれるか:こちらの説明を遮らず、専門用語をかみ砕いて説明してくれるか
  • 本人の希望を尊重してくれるか:ケアマネジャーの意見を押しつけず、ご本人が「どう暮らしたいか」を起点に提案してくれるか
  • 地域のサービス事業者に詳しいか:地域密着型サービスや、希望する曜日・時間帯に対応できる事業所を具体的に提案できるか
  • 連絡が取りやすいか:電話や訪問の頻度、緊急時の連絡方法について明確な説明があるか
  • 医療職との連携がとれているか:持病がある場合、主治医や訪問看護との調整実績があるか

面談では、次のように具体的に聞くと、答えを比べやすくなります。

聞くこと聞き方の例答えから分かること
担当している人数「担当している利用者さんは今、何人くらいですか」1人あたりにかけられる時間の目安
連絡の方法と時間帯「平日の夕方や土日に連絡したいときは、どうすればいいですか」急ぎのときにつながるか
もともとの職種「ケアマネジャーになる前は、どんなお仕事をされていましたか」看護・介護・相談支援など、得意な分野の手がかり
医療との連携「入院したときや退院のときは、病院とどうやり取りしますか」主治医や病院との調整に慣れているか
事業所の体制「担当の方が休みのときは、誰が対応しますか」一人に頼らず事業所全体で対応する体制か

担当人数には国の基準があります。居宅介護支援事業所は、利用者44人ごとに1人のケアマネジャーを置くことが定められています(国の情報連携システムを使い、事務職員を置いている事業所では49人ごと)。あくまで事業所全体の人員の基準ですが、聞いた人数がこれより大きく多いときは、連絡の取りやすさを確かめる手がかりになります。また、事業所の管理者は原則として、経験を積んだ主任介護支援専門員でなければならないとされています(e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条・第3条)。

契約のときには重要事項説明書という書類の説明を受けます。国の基準(同基準第4条)では、事業所は契約の前に次のことを説明するよう定められています。

  • ケアプランは、本人の希望にもとづいて作るものであること
  • 利用者は、ケアプランに入れるデイサービスや訪問介護などの事業所を、複数紹介するよう求めることができること(説明は義務)
  • その事業所が直近6か月に作ったケアプランで、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与などがどのくらいの割合で入っているか、同じ事業者のサービスがどのくらいの割合を占めるか(説明は努力義務)

提案されたサービス事業所が1か所だけで迷うときは、「ほかの事業所も教えてください」と頼んでかまいません。

「初回の面談で、なんとなく話しやすいと感じたかどうか」——実務的なチェック項目に加えて、この直感も大切にしてください。ケアマネジャーとは今後、月に1回以上、長期にわたって関わることになる相手だからです。


ケアマネジャーが合わないと感じたら?変更を考えていいサイン

「話を最後まで聞いてくれない」「連絡が数日つかない」「希望と違うサービスばかり勧められる」など、5つのサインのうち複数が当てはまるなら、ケアマネジャーの変更を検討する時期かもしれません。

「担当のケアマネジャーが合わない」と感じても、それが変更を考えていいレベルの問題なのか、単なる一時的なすれ違いなのか、判断に迷う方は多いはずです。ここでは、ケアマネジャー変更を検討していい目安を具体的に整理します。

ケアマネジャーの変更を考えていい5つのサイン(話を最後まで聞かない・連絡がつきにくい・希望と違う提案ばかり・医療職との連携が薄い・説明が不十分)を示すチェックリスト図解

一度契約すると「もう変えられないもの」と思われがちですが、ケアマネジャーの事業所は利用者の側から変更できます。変更を考える目安となる5つのサインを整理しました。

サイン具体例
① 話を最後まで聞いてくれないこちらが話している途中で遮られる、要望を伝えても記録に残らない
② 連絡がつきにくい電話や訪問の約束が守られない、折り返しに数日かかる
③ 希望と違う提案ばかりされる本人・家族の意向より、事業所側の都合が優先されている印象がある
④ 医療職との連携が薄い主治医の指示や入院時の情報が、ケアプランに反映されていない
⑤ 説明が不十分費用や制度変更について聞いても曖昧な返答しかない

これらのサインが1つあったからといって、すぐに変更すべきというわけではありません。ただし、複数のサインが重なり、話し合っても改善しない場合は、変更を検討してよい段階です。

遠慮して言い出せないときは 「担当を変えたら角が立つのでは」とためらう気持ちは自然です。事業所の変更は、介護保険の利用者に認められている手続きです。直接言いにくい場合は、先に地域包括支援センターに相談し、進め方を一緒に考えてもらうこともできます。

一方で、サービスの回数を減らしたいと言ったら断られた、区分支給限度基準額を超える提案をされたといった場合は、変更以前に、ケアマネジャーが制度の基準に沿って正しい説明をしている可能性もあります。区分支給限度基準額の考え方は親の介護が始まったら──はじめての介護保険、申請から費用までやさしく解説で解説しているので、あわせて確認すると判断しやすくなります。施設入所を検討していて費用面の説明が曖昧だと感じる場合は、介護施設の食費・居住費は2026年8月からどう変わった?|負担限度額・対象者・確認手順で制度の基礎を押さえておくと、ケアマネジャーへの質問も具体的にしやすくなります。


実際にケアマネジャーを変更するには、どうすればいいの?

まず今の事業所に契約解除の意思を伝え、地域包括支援センターなどで新しい事業所を探します。費用はかからず、引き継ぎの日程を合わせればサービスを途切れさせずに移れます。

ケアマネジャーの変更を決めたら、次の4ステップで進めます。

ステップ1:現在の居宅介護支援事業所に契約解除を伝える

契約書・重要事項説明書に解除の手続きが記載されています。多くの事業所では、電話や書面での申し出で足ります。理由を詳しく説明する義務はありませんが、「対応が難しいと感じている」程度は伝えておくと、記録の引き継ぎがスムーズになることがあります。

ステップ2:地域包括支援センターに新しい候補を紹介してもらう

最初に探したときと同じように、地域包括支援センターに相談し、新しい居宅介護支援事業所を紹介してもらいます。「前の事業所とは違うタイプを希望している」といった要望も伝えて構いません。

ステップ3:新しい事業所と契約し、ケアプランを引き継ぐ

新しいケアマネジャーが決まったら、現在のケアプランや心身の状態に関する情報を引き継ぎます。市区町村への「居宅介護支援事業所(変更)届」の提出が必要になる場合がありますが、これは通常、新しい事業所側が手続きしてくれます。

ステップ4:サービス事業者にも変更を伝える

デイサービスや訪問介護など、すでに利用しているサービス事業者にも担当ケアマネジャーが変わったことを伝えます。新しい事業所との契約日と、今の事業所との契約の終了日をそろえておくと、サービスの空白ができにくくなります。日程は両方の事業所と相談して決めます。

ケアマネジャー変更の4ステップ(契約解除の申し出、地域包括支援センターへの相談、新事業所との契約とケアプラン引き継ぎ、サービス事業者への連絡)を示したフロー図

変更にかかる費用は、依頼と同様に発生しません。ケアプラン作成費が全額介護保険からまかなわれる仕組みは、変更後の事業所でも変わらないためです。


遠方に住むご家族が気をつけたいこと

同居していない場合は、電話やメールでの報告頻度と、緊急時の連絡順序をあらかじめ取り決めておくと、離れていても状況を把握しやすくなります。

離れて暮らすご家族にとって、ケアマネジャーは現地の状況を知る最も身近な情報源になります。契約時に次の点を確認しておくと、遠方からでも状況をつかみやすくなります。

  • 月1回のモニタリング報告を、電話・メールのどちらで受け取れるか
  • 体調急変時に、誰に・どの順番で連絡が入るか(本人→ケアマネジャー→遠方の家族、など)
  • オンライン面談(ビデオ通話)に対応しているか

すべての事業所がオンライン対応をしているわけではありませんが、対応可能な場合は、帰省のタイミングに合わせず定期的に状況を確認できるようになります。遠距離での介護に不安がある場合は、仕事と介護の両立:時間管理と心の余白を保つためにもあわせてご覧ください。


まとめ:ケアマネジャーは「変えていい」関係

  • ケアマネジャーは、家族が選んだ居宅介護支援事業所の担当者が務める。依頼にも変更にも、利用者の費用はかからない
  • 選ぶときは、面談で担当人数・連絡方法・医療との連携を聞いて、2〜3か所を比べる
  • 5つのサインが重なり、話し合っても変わらないときは、契約の終了日と開始日をそろえて事業所を変更する

ケアマネジャーは、介護保険サービスを利用するうえで最も長く付き合うことになる専門職です。だからこそ「今の担当者が合っているかどうか」を、ときどき振り返ってみる価値があります。

介護の悩みは、制度の話だけでは片づかないことも多くあります。日々の不安に押しつぶされそうなときは、介護がつらい・もう限界と感じたら──介護疲れセルフチェックとストレスのサイン、心を守るセルフケアもあわせてご覧ください。

今日、ひとつだけできること

次にケアマネジャーと話す機会があったら、今月のモニタリングで「困っていること」を1つだけ具体的に伝えてみてください。「なんとなく合わない気がする」より、「連絡がつきにくくて不安だった」のように具体的に伝えるほうが、関係が改善するきっかけになりやすいものです。

それでも状況が変わらないと感じたときは、ひとりで抱え込まず、同じ立場のご家族の経験を聞いてみるのもひとつの方法です。介護そっとねっとのアプリでは、介護に向き合うご家族どうしが匿名でやりとりできます。「ケアマネジャーを変えて楽になった」といった、生活に近い体験が集まる場所です。よければのぞいてみてください。


よくある質問

Q. ケアマネジャーを変更すると、今のサービスは使えなくなりますか?

いいえ、使えなくなることはありません。ケアプランの引き継ぎと事業者への連絡が済めば、デイサービスや訪問介護などの利用は継続されます。変更の手続き自体でサービスが中断することは基本的にありません。

Q. ケアマネジャーへの依頼や変更に費用はかかりますか?

かかりません。ケアプラン作成にかかる居宅介護支援費は全額が介護保険から給付されており、利用者の自己負担はありません。これは変更後の新しい事業所でも同じです。

Q. 要支援1・2の場合もケアマネジャーに依頼できますか?

はい。ただし窓口は居宅介護支援事業所ではなく、原則として地域包括支援センターになります。一部の業務を居宅介護支援事業所に委託しているセンターもあります。

Q. 1か所しか紹介されなかったのですが、それでいいですか?

ケアマネジャーの事業所(居宅介護支援事業所)を選ぶ段階なら、地域包括支援センターや市区町村の窓口で一覧をもらい、2〜3か所を比べることができます。契約後、ケアプランに入れるデイサービスなどの事業所については、利用者は複数の事業所を紹介するよう求めることができ、ケアマネジャーの事業所は契約の前にこのことを説明しなければならないと国の基準で定められています。

Q. 変更を伝えると、今の担当者との関係が気まずくならないか心配です。

担当の変更は、介護保険の利用者に認められている手続きです。理由を詳しく説明する決まりはないため、「対応が難しいと感じている」程度の伝え方でかまいません。言い出しにくい場合は、地域包括支援センターに相談してから進めることもできます。

Q. 遠方に住んでいても、ケアマネジャーとやり取りできますか?

電話・メールでの定期報告や、事業所によってはオンライン面談に対応しています。契約前に、モニタリング報告の方法や緊急時の連絡順序を確認しておくと、離れていても状況を把握しやすくなります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に関するアドバイスは専門家にご相談ください。

参考にした公式情報

※事業所ごとの運営方針や担当件数、報酬改定の詳細は変更される場合があります。実際の依頼・変更にあたっては、お住まいの地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険担当窓口に必ずご確認ください。

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